わにわに

朝山実が、読んだ本のことなど

四十にしてお坊さんになろうと思うと相談したところ、嫁が家を出て行った僧侶の話

noteに掲載した新しいインタビュー記事 "お坊さんになろうと思う、と言ったら、嫁が家を出ていったお坊さんの話" 拙著『父の戒名をつけてみました』の取材でお会いしたのが縁で、父の命日にお参りしてもらうようになったお坊さん。お寺をもたない「インディ…

「早割」は当たり前? 激変するお葬式業界を覗いてみました

お葬式業界の変化、すごいです。 不明瞭だ、ぼったくりだ、とまで批判を浴びたのは今や昔の感で、 低料金化の波で、10万円を切る葬儀プランや「早割」まで登場。 昔は「密葬」といっていたのが「家族葬」と呼ぶようになり、規模が縮小。 通夜や告別式を行わ…

「ドライブスルーのお葬式」を見にいってきました。

長野県上田市。緑の屋根「全国初のドライブスルーのある葬儀ホール」 クルマに乗ったまま、ドライブスルーでお焼香できる、というニュースを見たときは、ああ、ついにここまで来たか。簡略化の象徴のように思ったものだった。 お葬式に行ったのに、ご遺族と…

映画『かぞくへ』(春本雄二郎監督)の「へ」について考えてみた。

「かぞくへ」(春本雄二郎監督)という映画を観たのは、渋谷のユーロスペースだった。アンコール上映で、最初の公開時のときには知らなかった。 たまたま別の劇場に置いてあったチラシに、ケン・ローチとヤン・イクチュンを継ぐ若手監督とあったので、どんな…

「泣き屋」という職業を取りあげた映画「見栄を張る」を観た

お葬式って、何のため、誰のためにするものなのか。お坊さんのお経はセットだと思いがち。実際、ワタシが喪主となった父の葬儀は、戒名をワタシがつけたことにより、檀家だった村のお坊さんとの関係がこじれはしたものの、葬儀屋さんのルートで別のお寺のお…

お母さんのベッドで仏壇を作ったひとにインタビューしました。

仏壇って、仏壇屋さんで買うものだとばかり思っていた。 え!?驚いたのは、音楽ユニットの「明和電機」土佐信道さんのツイッターに、亡くなられたお母さんのベッドを利用して、ご自身で仏壇を製作されレポートが載っていた。 写真を見ると、木肌を生かした木…

宮崎誉子の『水田マリのわだかまり』は、『OUT』『照柿』に連なる、工場モノの傑作だ。

工場もの小説といえば、『OUT』(桐野夏生)と、『照柿』(高村薫)がワタシの中での横綱だ。そこに新たに加えたくなるのが、宮崎誉子の『水田マリのわだかまり』(新潮社)だ。5年半ぶりの新刊で、宮崎さんは「平成のプロレタリア作家」と呼ばれている。 井…

霊柩車を作っている自動車工場の見学記

霊柩車っていったい、どこで、どのようにして作られているのか?茨城県にある工場をルポしてみました。4回ものの連載で、転職して工場を運営することになった社長さんの話が「へえー」の連続です。 note.mu

部屋もの本③ 変な間取りのアパートと団地と下宿屋と

部屋もの本❸ 転居二年目になるがキッチンに立つたび疑問に思うのは、この部屋の換気扇のスイッチは何故、手の届くところにないのだろうか? 先代の住人はどうしていたのか? 賃貸マンションのこの部屋が不思議なのは、ガスレンジを置くスペースの奥にいろい…

ノワールはこうでなきゃな。

『嘘 Love Lies』村山由佳(新潮社)は、第六章がすごい。 「作家生活25年、新たな到達点となる哀切のノワール」とオビに謳った、村山由佳の長編小説。500頁超えだ。 25年かぁ、と購入。分厚いのは苦手なんだけど。1993年に『天使の卵 エンジェル…

ユニクロと選挙とコールセンター

「日刊チェンマイ新聞」の「これ、読んだ」という読書コラムで、最近読んだノンフィクションの収穫3冊「ユニクロと選挙とコールセンター」について書きました。 ❶『ユニクロ潜入一年』横田増生、http://www.norththai.jp/ex_html/ma/views.php?id_view=7 ❷『…

部屋もの本❷ 柴崎友香『千の扉』と谷口ジローの自伝的な短編と

部屋もの本その❷ 気づいたら“部屋もの”を好んで読んできた。「借りて住む」暮らしを描いた物語という意味だが、小説だと、『三の隣は五号室』長嶋有、『千の扉』『かわうそ堀怪談見習い』柴崎友香、『高架線』滝口悠生、『霧笛荘夜話』浅田次郎、あたり。 漫…

部屋もの本① 気づいたら"部屋もの"にはまっていました。

部屋もの本その❶ このところ「部屋もの」を好んで読んでいることに気づいた。 小説だと、『三の隣は五号室』長嶋有、『千の扉』『かわうそ堀怪談見習い』柴崎友香、『高架線』滝口悠生、『霧笛荘夜話』浅田次郎、あたり。 漫画だと、『椿荘101号室』ウラ…

2017のミステリーの収穫5冊

週刊文春12/14号がポストに入っていた。2017ミステリーベスト10が発表になっている。 わたしも国内部門だけアンケートに答えたけど、圏外の20位以内に三冊入っていたものの、10位以内には一冊もなく、何をナゾとして面白がるかの小説を愉しむポイントが違っ…

「ラモツォの亡命ノート」と「三里塚」と浜田真理子のハレルヤと

「ラモツォの亡命ノート」(小川真利枝監督)を観た。 ラモツォという、チベット出身の30代の女性と家族のドキュメンタリー映画だ。 チベットについて知っていることといえば、ダライ・ラマと中国が強く干渉しているくらいの大雑把なことぐらいで、何も知ら…

「おクジラさま」から考えてみる

『おクジラさま ふたつの正義の物語』佐々木芽生(集英社) 映画『ザ・コープ』で世界の注目を浴びた紀州南端の漁師町・太地町にニューヨーク在住の日本人女性ジャーナリストがカメラを持ち込んだ、ドキュメンタリー映画『おクジラさま』の舞台裏を綴ったノン…

『三里塚のイカロス』監督の代島治彦さんを「ウラカタ伝」でインタビュー

【お知らせ】 「ウラカタ伝」というブログで、『三里塚に生きる』につづき、『三里塚のイカロス』を撮られた監督の代島治彦さんをインタビューしました。「三里塚」は現在の成田空港の千葉で、1966年、国の一方的な政策決定に対して「農地死守」を掲げ、空港…

じゃんけんのシーンが秀逸‼ 映画「わたしたち」ユン・ガウン監督

『わたしたち The World of Us』ユン・ガウン監督・脚本 最初、小学生(5年生くらい?)の女の子のアップが何分間かつづく。「じゃんけんぽん」 掛け声がして、名前が呼ばれる。そしてまた、じゃんけんぽん。名前が呼ばれる。そしてまた… その間、女の子は目線を…

「書いた人」で、『マチビト』の石原まこちんさんをインタビューしたときのこと

石原まこちんさんを「書いた人」(「週刊朝日」2017年8/4号)で取材したときのこと 小学館の担当編集Nさんからインタビュー場所に提案してもらったのは、多摩川のお好み焼き店だった。仕事場か喫茶店とかホテルのラウンジが定番だが、夕方のお好み焼き店とい…

佐藤正午さんと「「家」の履歴書」

2017年7月19日、佐藤正午さんが直木賞を受賞された。 めでたい!! 家の中をひっくり返して、週刊文春の「「家」の履歴書」の切り抜きを読み返してみた。2002年12.12号だから、佐藤さんお会いしたのは15年前のこと。編集者と二人で佐世保にいったのをよく憶え…

葬儀屋さんのインタビューをはじめました。

ブログ・インタビュー新連載 「葬儀屋、はじめました。」をはじめました。 拙著『父の戒名をつけてみました』の続篇というか、ひょんなことから付き合いができた、町の葬儀屋さんのインタビュー連載をはじめました。ふつうだけど、変わっています。覗いても…

おぞけながらも読んでしまった『かわうそ堀怪談見習い』

目にしたくない。なのに読んでしまった。二度も。というのが『かわうそ堀怪談見習い』柴崎友香(角川書店)だ。 ワタシは幽霊よりも、虫が苦手。だからどんなに田舎暮らしに憧れがあっても、できっこない。理科の教科書は、載っている蜈蚣や蜘蛛の類のせいで…

「はじまりへの旅」に、『夜の谷を行く』を重ねてみた。

hajimari-tabi.jp 時間があいたので、マット・ロス監督の「はじまりへの旅」という映画を観た。予備知識なしだったけど、すんごく濃い映画だった。 アメリカ北西部の森深くに暮らす、子沢山の一家の物語で、父親のベン(ヴィゴ・モーテンセン)は、1960年代…

藤田宜永『大雪物語』と、“24時間365日電話受付中”の葬儀屋さん

藤田宜永の『大雪物語』は、記録的な降雪で交通が遮断。「陸の孤島」となったK町を舞台にした全6話のオムニバス短編集。雪に閉ざされたリゾート地というと、ジャック・ニコルソン主演の「シャイニング」が思い浮かぶが、こちらは閉ざされた狂気でなく非常…

『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』大崎善生を読む

お蔵入りした書評 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』 大崎善生(角川書店) 著者は『聖の青春』などで知られる小説家で、07年に起きた拉致強盗殺人事件のノンフィクションだ。 犯人たちと被害者には何の接点もなく、男たちは「闇の職業安定所」と呼ばれる…

今年読んだ「弔い」の本、8冊

2016、今年読んだ本の中で、「弔い」をテーマにしていて印象に残った、8冊。 『煙が目にしみる 火葬場が教えてくれたこと』ケイトリン・ドーティ 池田真紀子・訳(国書刊行会) 葬儀会社に就職し「火葬炉」の担当になった若い女性の職場体験記。米国は土葬だ…

津村記久子『浮遊霊ブラジル』の中に出てくる、「オモ族」の写真集を見る男の子の話が面白い。

一日のご褒美に「オモ族」の写真集を見る男の子の話が面白い。 津村記久子『浮遊霊ブラジル』(文藝春秋)津村記久子の書く小説といえば職場小説の印象があるのが、最新刊の『浮遊霊ブラジル』は、死んじゃったお爺さんが、生前に行きたかった海外旅行を幽霊に…

映画「淵に立つ」(深田晃司監督)のあるキャラクターについて考えてみた

映画「淵に立つ」(深田晃司監督)を観て… 映画『淵に立つ』公式サイト ※映画のネタバレを含んでいます 日が経つにつれ、観終わった直後の違和感はだんだんと薄れ、浅野忠信演じるあの男は、観た人たちのコメントにあるように「得体の知れないモンスター」だっ…

若い女性が、火葬場で働いた体験記『煙が目にしみる』が面白い。

「食人族」というと何とも恐ろしい。私たちとは異なる世界に生きている蛮族と考えがちだし、この本を読むまではそうだった。60年生きてきて、知ってはじめて視界がひらけたというと少々大げさだけど、いまはそんな感じだ。『煙が目にしみる 火葬場が教えてく…

売られていったアカと、名もないウチのアンドロイドたちのハナシ

最近読んだ本で、印象に濃いのは、写真家の鬼海弘雄さんの『靴底の減りかた』(筑摩書房)という随想集に、バングラデシュの村で目にした光景を綴った一文だ。 朝、露店の男がひとりでやっている肉屋の前を通り過ぎようとすると、向こうから山羊を引いた親子が…

インタビューライター・朝山実 近著 『父の戒名をつけてみました』(中央公論新社) 『アフター・ザ・レッド 連合赤軍兵士たちの40年』(角川書店) 『イッセー尾形の人生コーチング』(日経BP社)etc. 不定期連載 「日刊チェンマイ新聞」"朝山実の、という本の話" http://www.norththai.jp/