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わにわに

朝山実が、読んだ本のことなど

嫌でしかたない。だからこそ、面白くなるもの。

『あなたを選んでくれるもの』ミランダ・ジュライ 岸本佐和子訳 ブリジッド・サイファー写真 新潮社 ラジオのゲストで阿川佐和子さんが話している。 インタビューの名手として知られるひとだけど、「どなたか会いたいひとはいますか?」と聞かれるたび「だれ…

20年の間、引退しない男の「顔」を撮り続けたドキュメンタリー

ひとりの人物にカメラを向け、インタビューを重ねてきた映画を観た。それも20年間だ。 カメラは、二十歳そこそこ、イキのいい男を正面から撮っていく。監督がインタビュアーで、たまに公園のベンチに並んで腰掛けたりして、聞き手の顔が映りはするものの、ほ…

指先の感触

全盲で耳も聴こえない妻と、五十をこえてから結婚した夫のふたりが、田舎の村で静かに生活するドキュメンタリーを深夜にやっていた。何度か再放送していたらしい。 妻が視力を失ったのは、四十代で、聴覚は幼いころだという。 ふたりの会話は、夫が妻の手の…

娘に遠慮してしまう父にやきもきするのが、ベストシーン。

『ナグネ 中国朝鮮族の友と日本』最相葉月(岩波書店) ナグネとは旅人という意味らしい。よく練られた構成。映画を見るみたいだ。 日本から中国へ帰郷した娘が、土産に持参した釣竿を父親に渡す際、 「あまり目立つ場所で使っちゃだめよ」 というのだが、最初…

「ショッカー」見分けられますか?

「なかのひと」インタビューの最新版が、掲載になりました。 特撮「戦隊」番組で変身後に、ヒーローを演じるスーツアクターさん。 なかでも、数少ない女性アクターだった人見早苗さんのインタビュールポで、3週連載の「前編」になります。 「個性」てなんだ…

“透明人間”に徹してきた古賀さん、“牛の仕事”を経験した佐川さん

佐川光晴『主夫になろうよ!』(左右社)を読みながら、東京大学教養学部×博報堂ブランドデザイン『「個性」はこの世界に本当に必要なものなのか』(アスキー新書)を、パラパラめくってみた。 雑誌の企画で、作家の佐川光晴さんと、小学校の先生をしている鈴木…

「スーツアクター」というお仕事をルポ

宣伝です。すみません、無粋です。 映画の「イン・ザ・ヒーロー」(唐沢寿明さん主演、武正晴さん監督)をきっかけに、 こんなインタビュールポをはじめました。 「パッチギ!」「フラガール」などを世に出したシネカノンの元代表で、見事復活を果たされた李鳳…

恥ずかしかながら…

発売中の「婦人公論」2/24号に、ダンスプロデューサーの夏まゆみさんのルポを書きました。モーニング娘。やAKB48の振り付けをされてきたひとです。 三ヶ月くらいの間、「新日鉄住金エンジニアリング株式会社」での社内講演会やNHKラジオ第一「午後のまり…

消えたユニクロの同僚を訪ねていくルポ

大宮冬洋さんの『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ぱる出版)は、私小説ふうのノンフィクションだ。 2年ほどに前に出版された単行本。たまたま目にしたwebの読者コメント欄が賛否両論で、否のほうは昔の同僚の話を聞いただけじゃん、知…

#佐藤正午史上最強の小説!!

いろいろあって、ものを書く気力がわいてこなかったし、ひと月ほど本もほとんど手にしなかった。ようやく年明けからちびちび頁をめくっていたのは佐藤正午の『鳩の撃退法』(小学館)。上下本で、最初はささいなことをあれこれ書いていて、ちょっと村上春樹っ…

自殺を止めるひとを記録したノンフィクション。

昨日売りの「週刊現代」の書評欄の「書いたのは私です」で、ノンフィクションライターの中村智志さんをインタビューした記事が載りました。本は、『あなたを自殺させない 命の相談所「蜘蛛の糸」 佐藤久男の闘い』(新潮社)です。 長いタイトルですが、自殺率…

おしろいつながり。

白粉のにおいのする女のひとが家に大勢出入りしていたといえば、亡くなられた映画監督の森田芳光さんが思い浮かぶ。 渋谷の道玄坂のラブホテルが建ち並ぶ一角に実家があり、お昼近くになると芸妓さんが集まってくる置屋さんで、子供のころから女のひとたちに…

駅から徒歩1分の場所にたどり着かない恐怖。

このごろ目的地にたどり着くのが難しくなかった。きのうも「駅を出てすぐ」の場所に20分もかかってしまった。帰りは駅まで1分とかからなかった。 転記した地図どおりに駅を出て右に進んだ。スススッと。しかし、これが間違いだったらしい。ライブをやってい…

町内会ノイローゼ 「町内対抗ムカデ競争」に出る人がいないと、誰が困るのか?

『“町内会”は義務ですか? コミュニティーと自由の実践』紙屋高雪著、小学館新書から、 選挙の投票率が半分に満たないどころか、有権者の三分の一あたりの低調時代に「町内会(自治会)」は、重荷ではないでしょうか。 本書は、なり手のない団地の自治会長を、…

『失職女子。』という本から、命のロープについて考えてみました。

生活保護を受給するには、まず「住所」が必要。でも、いま住んでいるアパートから退去を求められています。どうしたらいいでしょう? というように困惑しているひとが読むとすごい力になるのが、大和彩著『失職女子。 私がリストラされてから、生活保護を受…

じつは、若者たちで「新しい村」をつくろうというノンフィクション。

『0円で空き家をもらって東京脱出!』つるけんたろう著、朝日新聞出版 東京郊外の安アパート暮らし。30歳の漫画家さんが「ゼロ」にひかれ、広島県の尾道に移住した体験を綴ったルポ漫画です。 近ごろ問題化している「空き家」の増殖をとらえたということで…

横浜ベイスターズの二軍の試合を見続けているひとのブログが面白い。

中村ノリ選手の去就が気になります。 そんなのにノリのこと好きだったっけ? と不思議がられたりしますが、たしかに、にわかです。 中畑監督の逆鱗にふれ、春に二軍に落とされて以来、今年は一軍出場のないまま、二軍のホームでの試合に4番スタメンで起用され…

アリは、「死」をどのように捉えているかのかというハナシなど、

アリは死んだ仲間を運びだすそうだ。エッサホッサ。観察していると、遺体を墓地みたいなところに積み上げるのだとか。 彼らの「死んだ」かどうかの識別は、におい。まだピンピンしている働きアリに、そのにおいを塗りつけてみると、エッサホッサ、みんなで暴…

脱走するのも、とどまるのも

池辺葵の『かごめかごめ』(秋田書店)は、修道女のシスターたちのお話。B6版のコミックにしては、1200円は高いなぁと思ったら、オールカラーだった。 読みはじめると、価格を上げてもカラーにしたことに納得。ぜんたいにくすみがかった淡い色で、ポイントで…

鏡とマタンゴ。この恐怖から逃れるにはマタンゴになればいい、とあのときボクは…

『怪獣人生 元祖ゴジラ俳優・中島春雄』中島春雄著、(洋泉社新書)から ゴジラの中に入っていた「元祖スーツアクター」中島春雄さんの本を読んでいると、『マタンゴ』のキノコ怪物の役もやっていたという。1963年の東宝映画で、監督は本多猪四郎、特技監…

戦地に送る、笑顔

きのう発売の週刊現代、「人生最高の10冊」頁で、ノンフィクション作家の奥野修司さんにインタビューさせてもらったのが掲載されました。 ノンフィクションの作品について、書き手がどういうことを考えながら書くものか。『ねじれた絆』を執筆された頃のこと…

山田清機さん、おぼえておこう!

『東京タクシードライバー』山田清機著、(朝日新聞出版)を読んでいる。 AERAの「現代の肖像」でときおり見かけたことのある書き手で、タクシードライバーたちをインタビューしたノンフィクション。 前職をずっと聞いていく。スーツアクター(着ぐるみに入って…

ヘン、でこそ、人。

【わにわに書庫】 『世間のひと』鬼海弘雄著・写真 ちくま文庫 良い映画をたくさん観るのも必要だが、プロとなるには、駄作とされる映画を観なきゃいけない、と言ったのはドナタだったか……。 たまに小説の新人賞の下読みをおおせつかるのだが(仕事の乏しいラ…

事件もの

拙著『アフター・ザ・レッド 連合赤軍 兵士たちの40年』(角川書店)が、「本の雑誌」2014年6月号の“特集=事件ノンフィクションはすごい”の中で、とりあげてもらっています。仲野徹氏との名刺ジャンケンのように本を紹介しあう対談の場に、書評家の東…

インタビューライター・朝山実 近著 『父の戒名をつけてみました』(中央公論新社) 『アフター・ザ・レッド 連合赤軍兵士たちの40年』(角川書店) 『イッセー尾形の人生コーチング』(日経BP社)etc. 不定期連載 「日刊チェンマイ新聞」"朝山実の、という本の話" http://www.norththai.jp/