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わにわに

朝山実が、読んだ本のことなど

すき家の社長さん

   仕事で軽井沢に行った。新幹線の駅前に、ブランドショップが軒を連ねるところがあり、時間があったので覗いてみた。ぶらついている観光客の半分くらいが、韓国、中国、台湾あたりから来たひとたち。夕飯に入ったカツ丼の店は、5時過ぎと中途半端な時間とあって先客は一組だけ。「ィラッシャイマセー」と案内してくれた店員さんも外国から来た感じ。ショッピングセンターの人工的な空気といい、異国に来たみたい。

 ソースカツ丼の味は、まあまあ。セットの蕎麦は大盛りで、これもまあまあ。値段は、1500円もしたからね。ただ、ちょっとよかったのは、たどたどしいニホンゴの彼女が、あとから入ってきた夫婦連れのお客さんにメニューを見せるときに、「日本語、ダイジョウブですか?」と聞いていた。日本人っぽくも見えたんだけど。それから、ワタシの食べ具合を見計らって、「ソバユー、ミニ一つ」と厨房に声をかけ、欲しいなぁと思うタイミングで運んできたこと。グッジョブ!!ちゃんと仕事してたんだね。ごめんごめん。

 

  気になるといえば、牛丼の「すき家」。

  雇用形態がひどいらしく、もうやってられんわ、ストライキを起そうとかいうので話題になっている。

「ワンオペ」(ワン・オペレーション)とかいって、深夜の時間帯にアルバイトがたった一人で店舗を任されるシステムをとっている。吉野家松屋などは、社員を含め最低二人制なのに比べて、徹底したコストダウンを意図した、すき家シフトで、低価格を支えるのはこれあってのことらしい。

  しかし、牛丼の単品だけを扱うわけではなく、すき家は鍋などメニューが豊富なのが売り。セット済みで、だれでも作られるようにしてあるとはいっても、そりゃムチャだわ。要領のわるいワタシは、ジブンならと混雑したときのことを想像しただけでも恐怖だ。しかも、店員が一人というのを狙って、強盗も多いとか。それがわかっていても、なかなか手を打とうとしない。

  ワタシなら、働きたくない。というか、食べにも行きたくない。店員さんがテンぱってるところで、おちおち食ってなんかいられないだろう。

  辞めるひとも多く、人員を補填しようにも、すでに苛酷という噂が広まり、営業休止となったままの店舗も多いとか。わかっていて、そのまんまって、経営的にも異常だわ。

  人手を確保するために親会社の「ゼンショー」がやったことといえば、システムの改善でなく、同系列の別会社「なか卵」で求人し、すき家にまわすなんてこともしているとか。めっちゃ、ブラック!

  気になって、ネットをうろうろしたら、ゼンショー社長の小川賢太郎氏は、昔は東大闘争に参加し、日程ビジネス・オンラインのインタビューに登場した際(@)、それっぽい昔語りをしているのだけど、時給の安いアルバイトを使い捨てるのと、かつてベトナム戦争がどうのの懐古とが、どう考えも結びつかない。ひとは変わるということか。

  自分が若いころにどれだけ厳しい職場を体験したかって語るなだけど、そして近ごろの若者は3K職場を嫌ってどうとか、ぼやくわけだけど。やっているのは、会社はボランティアでもなんでもない、単に「私」企業の利益向上。なんなんやろうかね? 

  @ http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100917/216295/?rt=nocnt

インタビューライター・朝山実 近著 『父の戒名をつけてみました』(中央公論新社) 『アフター・ザ・レッド 連合赤軍兵士たちの40年』(角川書店) 『イッセー尾形の人生コーチング』(日経BP社)etc. 不定期連載 「日刊チェンマイ新聞」"朝山実の、という本の話" http://www.norththai.jp/