わにわに

朝山実が、読んだ本のことなど

「生キャラ」りんご飴マンさんに会い、思い出したエガちゃんのこと。

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 津軽三味線とのコラボ。昔、バンド活動をやっていたとか。

 

?「週刊朝日(7/24号)」デキコトロジー【ゆるくないキャラ図鑑】で、
「りんご飴マンさん(青森県移住・生キャラ)」の記事が掲載されました。

以下は、掲載されたのとちがうバージョンで、「これインタビューっぼくなっているから記事にしなおして」というオーダーで、書き直す前のぶん。
「インタビューっぽい」と「記事」はどうちがうか。もし見比べられることがあれば、参考になるんじゃないかな。もちろん、そんなテマなことしなくともいいです。
内容的にはそんなにちがわないし。元データは一緒だし。
ただ、作家のエッセイやコラムでないかぎり、雑誌に掲載するものは取材者の「個人」を消す方向で整理する。子供のころの屋台にまつわる話をカットした。ワタシにそれをうまく組み込んでいくテクニックがないだけかもしれないけど。

 

 

 真っ赤な顔をムキダシに全国初の“生キャラ”と話題沸騰の「りんご飴マン」さん。
「年齢は、29歳です」
 青森好きが嵩じ今春、東京から青森県弘前市に移住したというが、いったい何者?
「りんご飴の魅力にとりつかれ、世界にその魅力を伝えようとするキャラクターです」
 祭りの屋台で売られるあの「りんご飴」。飴マンさんも、イベント会場などで出店しては完売となる盛況ぶりだ。
 記者は子供のとき、いつも一個を完食できなかったというと、
「子供たちは食べたいよりも持ちたいんですよね」
 食べきれないのは生食に向かない品種を使用しているからで、りんごを厳選しwebサイトでは「おいしいりんご飴」の作り方も公開している。
「販売は、仕事じゃないです。趣味です」
 家族について質問すると、親も兄弟もなく「唯一無二の存在」を強調するが、もとは学生仲間と始めた悪ふざけが発端だった。「なかのひと」は脱サラしての移住らしい。
「一世一代の決心だねと言われるんですが、青森が好きになったから。そんなに大きなコトではないです」
 ツイッターで活動を発信しているが、出没場所が多様である。
御嶽山が噴火したとき、知り合いのキャラクターさんがいたので勇気づけるために行って、現地のいいところを紹介しています」
 関係のないところにどんどん出ていきたい。人の役に立ちたいという。口調も物腰もキマジメ。よく見ると男前だ。
「ぜんぜん全然、この顔ですよ」ガォッー!突然、赤ら顔の大魔神にヘンシンする。
 どうしてその顔を?
「芸がないので、せめてこれくらいしないと」
 気まずそうな顔がまた好青年。スイッチを入れているつもりが、ときおり入りきれていないときがあるという。

 

 記者であるワタシは子供のとき、いつも一個を完食できなかったというと、
「子供たちは食べたいよりも持ちたいんですよね」とりんご飴さんが説明してくれた。りんご飴の活動は、もともとは女の子が持っていたらきれいだろう、写真に撮ってみようよといった遊びから始まったらしい。で、おいしいりんご飴づくりに向く品種と、そうでない品種があるってことだった。

 なぜ露店のりんご飴が食べきれないのか。ワタシがずっと思っていた疑問が、このときようやく何十年後かに晴れたというか。ちょっと大げさだけど(笑)。
 今春のこと。りんご飴マンさんが、高円寺のイベント会場で出店しているというのを彼のツイッターで様子を見たとき、出かけていきたくなったものだ。おいしそうだった。←迷ったあげくに行かなくて、なんかもやもやした。
 その後に弘前に彼が「移住」を決め、青森で活動し、着々と人気者になっていくではないか。毎日どこかでなんかしているし。ノリが独特。会ってみたいなあと思うようになった。りんご飴食いてぇ、というのとともに。
 それで、いつも作家さんのインタビュー仕事をしている週刊朝日のあのコーナーで取材とかできないだろうかと思ったのが、記事につながるわけだけど。
 取材を申し込んだのは、東京駅の近くで青森県のイベントがあり、彼が参加していた最中だった。本来なら、彼のホームグラウンドである弘前まで出かけていくのがスジなんだろうけど、取材費が出るわけもなく、自腹もありかなと思いもしたけれど、なにより企画提案をしたときには「ゆるくないキャラ図鑑」コーナーの終了が決まっていて、担当者に頼みこんで一回かぎりの延長をしてもらったような成り行きで、つまり取材して原稿を入れるまでに日数もなく、早速イベント会場に押しかけていって、時間のないなかで、あわただしく20分くらのインタビューになってしまった。なんか残念っす。会場で特産のりんごジュースを買って帰ったけど、いまだにりんご飴を食べられていないし。

 まあ、そんなこんなで掘り下げられていないインタビューだけど愛着があります。
 あ、りんご飴さんが、ほかの「ゆるキャラ」とちがうのは、顔をむき出しにしている外見もあるけど、ツィッターを見ていると、「なんでここに?」と思うような「関係のない場所」にどんどん出かけていくところ。「目立ちたがり屋」といえばそれまでだけど、よそ様の縁側で、その家のひとと日向ぼっこしているのが合う感じ。ヘンな格好をしているのに、やっていることがすごくふつうなのが、いい。
 じかに話したときの印象は、エガちゃんに似ていた。エガちゃん、昔インタビューしたとき、よく覚えているのが、指定された喫茶店の前で立っていた。夏の暑い時期だった。「なんで店の中で待ってないの?」とマネージャーさんが訊ねると、もぞもぞしていた。なんかわかる。ワタシも時間が経つにつれ、待ち合わせの相手がやってこないのは自分が日や時間を間違えてしまっているんじゃないかと落ち着かなくなる。だから、表で待つほうが楽というか。あの日は「早く着いちゃったから」というだけでエガちゃんがそうかどうかはわからないが、すっかりファンになった瞬間だった。

 

 

 

インタビューライター・朝山実 近著 『父の戒名をつけてみました』(中央公論新社) 『アフター・ザ・レッド 連合赤軍兵士たちの40年』(角川書店) 『イッセー尾形の人生コーチング』(日経BP社)etc. 不定期連載 「日刊チェンマイ新聞」"朝山実の、という本の話" http://www.norththai.jp/