マンガ
黒丸『UNDERGROUN'DOGS (アンダーグラウン・ドッグス)2』(ビッグコミックスピリッツ) 公園でダンスの練習をしている少女たち。あの中で、キミならどの女の子の電話場号を知りたいか? 黒眼鏡の男が、リュックを背負った若者を呼びとめ、尋ねる。「なんで…
新井英樹『空也上人がいた』(山田太一・原作)小学館から、 山田太一さんの同名小説を漫画にしたのが本書で、新井英樹さんの作品を読むのはこれがはじめてです。 巻末の山田さんとの対談で、新井さんはご自分の絵のキャラクターは美男美女ではなくて、嫌いと…
『ぼくのニセモノをつくるには』ヨシタケシンスケ著(ブロンズ新社)から、 絵本です。コドモもオトナも楽しめます。 ヨシタケさんはイラストレーターで、週刊文春の土屋賢二さんのエッセイで、一コマまんがを連載していて、手にしたらまずココを見ます。ちな…
『0円で空き家をもらって東京脱出!』つるけんたろう著、朝日新聞出版 東京郊外の安アパート暮らし。30歳の漫画家さんが「ゼロ」にひかれ、広島県の尾道に移住した体験を綴ったルポ漫画です。 近ごろ問題化している「空き家」の増殖をとらえたということで…
水木しげるが、鬼太郎をはじめとする妖怪漫画を描きはじめたころからすると、ずいぶん世の中も変わったものだと思ったのは、宮川さとしの『東京百鬼夜行①』(新潮社)を読んでのこと。 シリアスタッチの『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』(新…
こうの史代さんが4コマ漫画を描かれている『あのとき、この本』(平凡社)で、『メキメキえんぴつ』(大海赫=作・絵、ブッキング)という本が紹介されていて、表紙の絵と、紹介者の石川浩司さんの文章とで、読まずにいられなくなりました。 71人のひとが、それ…
アリは死んだ仲間を運びだすそうだ。エッサホッサ。観察していると、遺体を墓地みたいなところに積み上げるのだとか。 彼らの「死んだ」かどうかの識別は、におい。まだピンピンしている働きアリに、そのにおいを塗りつけてみると、エッサホッサ、みんなで暴…
こうの史代さんの『日の鳥』(日本文芸社)が、いい。陸地に乗り上げたままの大型漁船を映像などで見ることに慣れてきたころに、繊細なスケッチ絵を目にすると、またちがった気持ちのざわつきが生じるものだ。それも物忘れの代表選手のようにいわれるニワト…
池辺葵の『かごめかごめ』(秋田書店)は、修道女のシスターたちのお話。B6版のコミックにしては、1200円は高いなぁと思ったら、オールカラーだった。 読みはじめると、価格を上げてもカラーにしたことに納得。ぜんたいにくすみがかった淡い色で、ポイントで…
「いらっしゃいまし。」とこんな夫婦が現れたら…… 『コンビニの清水』津村マミ著(小学館ビッグコミックス)から、 コンビニを舞台にしたシリーズものの連作マンガだ。背格好も顔つきもそっくりな老夫婦が切り盛りしている、24時間営業の店というのが設定だ…
お盆ですね。 『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』宮川さとし(新潮社・バンチコミックス)、から。 長いタイトル。しかも、文字だけ見るとホラーのような気がしなくもない。絵で、つい父や母の葬儀のことを思い出して買ったが、どうやら自伝的…
本日発売の「週刊現代」の書評欄「人生最高の10冊」のインタビューで、藤田宣永さんを取材させてもらっています。 軽井沢のご自宅の書斎におじゃまさせてもらいましたが、書棚で眺望のいいはずのせっかくの窓を壊し地下室のよう。「これが落ち着くんだよ」と…
【わにわに書庫】 『セトウツミ②』此元和津也(秋田書店)から、 『セトウツミ』の新刊が出ていた。オビに「手塚治虫文化賞読者賞ノミネート」とある。喜ばしい。 瀬戸と内海、詰襟の高校生ふたりが放課後に川べりで、だべっている。時間をつぶしているマンガ…
綿花は、ひとによってはこの絵のように見えるらしい。 かわいくもあり、意味深。 きょう発売の「週刊朝日」で、『羊の木』 全5巻(作画いがらしみきお、原作山上たつひこ)講談社イブニングコミック、の書評を書きました。 小説や映画では表現しにくい、犯罪者…
【わにわに書庫】 岩岡ヒサエ『孤食ロボット』(集英社)から、 岩岡ヒサエさんは、名前がうちの母親といっしょで、母を思い出し親近感がわく。マンガは『土星マンション』あたりから読み始めたけど、この『孤食ロボット』はとくに、いい。 ちょっと前になるが…
【わにわに書庫】 近藤ようこ『異神変奏 時をめぐる旅』(メディアファクトリー)から、 なんか手塚治虫の『火の鳥』みたいと思ったものの、あれは時代をいったりきたりして、キャストは「火の鳥」以外総とっかえ、火の鳥を捕まえて不老不死になろうとするがそ…
【わにわに書庫】 ウラモトユウコ『椿荘101号室』①②(マッグガーデン)から ウラモトユウコの『椿荘101号室』①②(マッグガーデン)は、人生初のひとり暮らしをはじめる若い女性のハナシ。同棲していた男から「別れてくれ」と土下座をされてやむなく……というのだ…
【わにわに書庫】 『ぼけまん』いましろたかし、から、(KADOKAWA) 『ネブラスカ』(アレクサンダー・ペイン監督)という映画を観た。100万ドルをもらいにコロラドからクルマで遠路を出かけていく老父と息子の話だ。 やめなさい、見え透いた当選詐欺…
【わにわに書庫】 観察するひとについて… セミのことを調べようとして、『ファーブル昆虫記③セミの歌のひみつ』(奥本大三郎訳・解説、集英社)を読んでみた。知らないことがいっぱいあった。 セミにもいろんな種類があるのは知っていたけれど、シャーシャーと…
【わにわに書庫】 『セトウツミ①』此元和津也、秋田書店、 「ハラダ親子」が気になる、クールでウエットな“相棒”マンガ。 これは、ふたりの高校生男子が、川べりに腰かけて掛け合いマンザイのようにダベっている。究極それだけのマンガ。でも、オモシロイ! …
【わにわに書庫・マンガ】 『五色の舟』 近藤ようこ・漫画 津原泰水・原作 KADOKAWA 畳をバン!と叩いて、 「ではもう死んだでいいではないですか! 私が弔います!」 時代は戦争中の日本。腰のあたりで身体がくっついたまま生まれた双生児の少女が…
【わにわに書庫・マンガ】 『繕い裁つ人⑤』 池辺葵、講談社 「ほしい」と思うのはなぜなんだろう……。 これからは「ほしい」と思うものだけを求めようと思った。残り少ない人生だし。 これは町の洋裁店のハナシ。祖母のあとを継いで、古風な(見方によっては古…