わにわに

朝山実が、読んだ本のことなど

気になるといえば

ノリはどうなるんやろう。

横浜ベイスターズ中村紀洋選手だ。

試合中の起用をめぐって、監督に楯突いために一軍登録を外され、二軍に落とされたという。以前にも同様のことがあったので、監督は二軍でも試合に出すなと言明したとか。ぶちキレたってことか。

作戦を立て指揮をとるのは監督の仕事だから、選手は余計な口出しをするなと、監督がムカッとくるのはわかる。

でもなぁ、と思う。

ノリがブログの載せた文章を読んだら、思いのほかしっかりしたものだった。わりと長文で、口出しととられかねない行為を反省したうえで、なんで監督は、マスコミにあれこれ多弁なのに、直接自分に語りかけてくれんのかという、不信というよりもたまりにたまった嘆きにちかいものが込められていた。俺のことどう思っているのか。チームに必要とさているのか。要らんというなら、そういってくれればいい。

ようするに、二十歳そこらの若者ではない。四十のベテランなのだ、彼は。

ネットのスポーツ新聞の投稿欄を見ると、和を乱す、わがままを言うようなヤツは野球をやめろとか、いうのがあった。野球は組織プレイだから、監督に文句いうたりするのが出ると困るし、そういう意見が出るのはわからんでもない。でも、ちょっと待ってほしい。

選手はコマではあっても、人間である。感情をもった。だから、絵になるのだ。

選手のだれもかれもが、従順に監督の顔色をうかがっているようなのって、見ていて面白いんかなぁ。

天才といわれた漫才師の横山のやっさんが、テレビばかりか芸能界そのものから追われた日から、この国は異分子を排除するナカヨシ指向が強まるばかりだ。

なんかなぁ、と思う。

仮に全面的にノリが悪いのだとしても、職員室に不良の生徒を呼びつけて諭す、ハミダシの意見を聞いてやるくらいのことをする度量が、監督にはあってもいいのでないか。ノリが大人になりきれないコドモなら、上に立つナカハタさんも大人とはいえないように思うのだが…。

でも、野球がイノチの人間に、やめろ、て簡単にいえてしまう、通りすがりの空気がこわい。

 

 

 

 








インタビューライター・朝山実 近著 『父の戒名をつけてみました』(中央公論新社) 『アフター・ザ・レッド 連合赤軍兵士たちの40年』(角川書店) 『イッセー尾形の人生コーチング』(日経BP社)etc. 不定期連載 「日刊チェンマイ新聞」"朝山実の、という本の話" http://www.norththai.jp/