戦地に送る、笑顔
きのう発売の週刊現代、「人生最高の10冊」頁で、ノンフィクション作家の奥野修司さんにインタビューさせてもらったのが掲載されました。
ノンフィクションの作品について、書き手がどういうことを考えながら書くものか。『ねじれた絆』を執筆された頃のことなど、読書してきた本を通して話していただきました。
ダイアン・アーバスの写真集と『一銭五厘たちの横丁』(児玉隆也著)が私的には読めてよかったです。
とくに『一銭五厘たちの横丁』は、戦後30年して、戦時中に撮られた家族写真の束を手に、東京の下町を歩くルポルタージュ。写真は戦地に送るために撮影されたもので、お父さんや息子、夫らにあてたもの。戦争を感じさせない笑顔がいい。だから、せつない。一家族一枚と撮影時に限定されていたとか。
訪ねてゆくものの30年の年月で、家はすぐに見つけられず、一軒一軒の取材の過程、それがドラマにもなっている。知らないひとたちなのに、郷愁感がわく。不思議だ。
タイトルの一銭五厘は、召集令状の葉書の値段。戦争を生活の実感でとらえられる。
アーバスは、フリークスの撮影で知られているが、奥野さんが写真家を志した発端で、フリークスという突き放した言葉を使わずに紹介されていたのが印象に残った。
Diane Arbus: An Aperture Monograph
- 作者: Doon Arbus,Marvin Israel,Diane Arbus
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