「ドライブスルーのお葬式」を見にいってきました。
クルマに乗ったまま、ドライブスルーでお焼香できる、というニュースを見たときは、ああ、ついにここまで来たか。簡略化の象徴のように思ったものだった。
お葬式に行ったのに、ご遺族と顔を会わさずに帰るのって、どうなん?
でも、気になって、はるばる見に行ったらば、思っていたのとはずいぶんと違っていた。
ドライブスルーはシンプルなゲートがあるくらいのもので、ご遺族と対面しないわけでもない。会場にあるモニターに焼香されている場面は映るし、ドライブスルーの受付は喪主さんの席のすぐ後ろで、余裕があれば挨拶に行くことも可能だ。
簡略化という即断は、都会人だからこそ抱く感覚だった。
発案者の社長さんは、健康な人に利用してもらうためのものではないんです。行きたいんだけど、介護なしには行けない。車からの乗り降りだけでも、ひとに迷惑をかけるから躊躇されていた車椅子のお年寄りのひとにとって、これだと参列してもらえる。そういう意図なんです、という。
なるほど。「全国初のドライブスルーのお葬式」の一号店ができたのが、東京や大阪といった大都市ではなく、長野県上田市というところがじつはポイントだった。
一見奇抜に思えるが、増加する直葬はもちろん家族葬もまだまだ数がすくないという、地縁血縁のローカルタウンだからこそ誕生した背景には、都会とは逆に、必要とされる事情があるのだということがわかった。