わにわに

朝山実が、読んだ本のことなど

火の鳥でなく、日の鳥。

こうの史代さんの『日の鳥』(日本文芸社)が、いい。陸地に乗り上げたままの大型漁船を映像などで見ることに慣れてきたころに、繊細なスケッチ絵を目にすると、またちがった気持ちのざわつきが生じるものだ。それも物忘れの代表選手のようにいわれるニワト…

「人間ピラミッド」て、よさこいソーラン、それとも岸和田ダンジリみたいなものというか、

人間ピラミッド、て、わかります? 人がどんどん積み上がって、山になる。三角の。馬の上に馬が。 客観的に見ると、何だろう。宇宙人からしたら、 「この星の人間はよくわからない」。そう言われそうな。 11段の記録に挑戦して骨折した生徒が四人も出たとい…

脱走するのも、とどまるのも

池辺葵の『かごめかごめ』(秋田書店)は、修道女のシスターたちのお話。B6版のコミックにしては、1200円は高いなぁと思ったら、オールカラーだった。 読みはじめると、価格を上げてもカラーにしたことに納得。ぜんたいにくすみがかった淡い色で、ポイントで…

ペットボトルの数が多すぎると思ったけど、

きのう、テレビ東京のヒット企画、路線バスの旅をやっていた。蛭子能収さんと太川陽介さん、それに今回はゲストに野村真実さんを加えて三人で、路線バスを乗り継いで、静岡県の御殿場から新潟県の直江津を目指すというもの。 順調に見えて、どんなアクシデン…

死刑囚となった小林さんは、その後何を考えて10年を生きたのか…

デング熱が話題になっていますが、タイの友人からのメールで、むこうでは風邪みたいにかかる病気で、「死なないの?」と訊くと、「死んだりしませんよ」て。 どうも、しばらく寝ていればすむそうで、いわく「そんなに危険なものならば、日本政府は渡航制限を…

「お葬式」をもっと安くならんかと賢く値切るということについて、

これは知り合いの葬儀屋さんから聞いた話。どっと疲れた。 シマさんは、30万円以下の家族葬を中心にしている小さな会社に勤めている。どんどん価格を下げるように喪主さんに言われ、「もう町の葬儀屋さんはなくなっていきますよ」と暗い声をだしていた。駅前…

はにほさん、て誰よ?

じつはペンギン好きです、ワタシ。 それもシャキッとしているのよりも、へたれなのが。 ペンギンは習性として群れをなして生きている動物たちで、とはいえ集団生活をとりながらもつがいが基本で、子供にしても自分んちの子だけ大事にして、よその子が間違っ…

空気について。もしくは、蝉スナックとかさ…

きょう発売の「週刊現代」の書評頁「人生最高の10冊」で、山崎ナオコーラさんの記事を担当しました。 タイトルが仰々しくて、取材のお願いをするときに、いつもためらいます。そんなたいそうなものは、と断られたりもしましたし。 「作家になってからの友…

変わり者のようで、すんごく基本に忠実にやってきたひとのハナシ。

きょう発売の「週刊朝日」の「週刊図書館・書いたひと」で、夏葉社の島田潤一郎さんのインタビュー記事が載りました。『あしたから出版社』(晶文社)のひとです。 「就職しないで生きるには」シリーズの1冊で、そうそう、ずっと昔、早川義夫さんが『ぼくは本…

ファミチキのうらみ、デリこぶたのよろこび

「いらっしゃいまし。」とこんな夫婦が現れたら…… 『コンビニの清水』津村マミ著(小学館ビッグコミックス)から、 コンビニを舞台にしたシリーズものの連作マンガだ。背格好も顔つきもそっくりな老夫婦が切り盛りしている、24時間営業の店というのが設定だ…

鏡とマタンゴ。この恐怖から逃れるにはマタンゴになればいい、とあのときボクは…

『怪獣人生 元祖ゴジラ俳優・中島春雄』中島春雄著、(洋泉社新書)から ゴジラの中に入っていた「元祖スーツアクター」中島春雄さんの本を読んでいると、『マタンゴ』のキノコ怪物の役もやっていたという。1963年の東宝映画で、監督は本多猪四郎、特技監…

スーパーのレシートにもらい泣きしてしまいました。

お盆ですね。 『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』宮川さとし(新潮社・バンチコミックス)、から。 長いタイトル。しかも、文字だけ見るとホラーのような気がしなくもない。絵で、つい父や母の葬儀のことを思い出して買ったが、どうやら自伝的…

小松さんのカラゲンキ

AERA 2003年 6/2号 がん克服の講演会で。撮影は郭充さん 笑福亭小松さんについて③ 小松さんの検索をしていると、落語家仲間の桂文福さんのブログを見つけた。小松さんが「笑福亭」を名乗れなくなって以降の付き合いが書かれてある。 安堵した。鶴瓶さん…

小松さんの長電話

あの日の笑福亭小松さん② 取材中、何度も電話をかけてくるひとだった。「どうしておられますか? と思って」 愛嬌のある声だった。なれなれしい口はならない。それなのに、ぐっと身を寄せてくる。 「AERA」の「現代の肖像」の取材は半年くらいときには一年近…

山頭火みたいに生きたかった小松さんのこと…。

あの日の笑福亭小松さん 「調子のいいときは取材だなんだとぎょうさん人が集まってくるけれど、つまづくとあっという間に寄りつかなくなりますわ」 小松さんのぼやきだ。マスコミの一端の仕事をしているとよく耳にすることである。メディアの仕事は「シュン…

これ、少女向けコミックなのに、喪服率が高い。

本日発売の「週刊現代」の書評欄「人生最高の10冊」のインタビューで、藤田宣永さんを取材させてもらっています。 軽井沢のご自宅の書斎におじゃまさせてもらいましたが、書棚で眺望のいいはずのせっかくの窓を壊し地下室のよう。「これが落ち着くんだよ」と…

笑えるブレヒト(『セトウツミ』2) 、そしてオロマップと

【わにわに書庫】 『セトウツミ②』此元和津也(秋田書店)から、 『セトウツミ』の新刊が出ていた。オビに「手塚治虫文化賞読者賞ノミネート」とある。喜ばしい。 瀬戸と内海、詰襟の高校生ふたりが放課後に川べりで、だべっている。時間をつぶしているマンガ…

鴻上さんの一石。なんで、言われたとおりにしか…、

綿花は、ひとによってはこの絵のように見えるらしい。 かわいくもあり、意味深。 きょう発売の「週刊朝日」で、『羊の木』 全5巻(作画いがらしみきお、原作山上たつひこ)講談社イブニングコミック、の書評を書きました。 小説や映画では表現しにくい、犯罪者…

借金を頼むのはツラいが、断わるのも…

むかし代官山に書店を開いた、木戸幹夫さんのこと。 【わにわに書庫】 『別冊本の雑誌⑰本屋の雑誌』(本の雑誌編集部編・本の雑誌社)から、 東横線「代官山」駅すぐの「文鳥堂書店page1」の木戸幹夫さんのお家に一度だけ泊めてもらったことがある。まだ…

「母に欲す」を観て、若くしてといっても50代だけど妻に先立たれた父さんもツラいんだ、とおもう。だもので、後妻探しするんだろうな。

もうやめよかな、と思っていたら、 「いいねえ、ワニワニ」と、電話をいただいた。写真家の鬼海さん。どこで、どうたどり着いたか聞かなかったが、深夜にすごいアクセスが記録されていたのは、そのためらしい。「面白いねえ」といわれたのは初めてで、反応に…

スローなブギに、と、少年ジャンプ と

きょう発売の週刊朝日、「書いたひと」に、 『メタクソ編集王 「少年ジャンプ」と名づけた男』(竹書房)の著者、 角南攻さんのインタビュー記事が掲載されました。 週刊少年ジャンプの創刊に立ち会い、「ヤングジャンプ」編集長を務めた、レジェンド。 メール…

お坊さんから、お言葉ちょうだいしました。

父の戒名をつけてみました 作者: 朝山実 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2013/12/09 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (6件) を見る 拙著『父の戒名をつけてみました』(中央公論新社)が電子書籍になりました。 彼岸寺の桂浄薫さんといわれる…

戦地に送る、笑顔

きのう発売の週刊現代、「人生最高の10冊」頁で、ノンフィクション作家の奥野修司さんにインタビューさせてもらったのが掲載されました。 ノンフィクションの作品について、書き手がどういうことを考えながら書くものか。『ねじれた絆』を執筆された頃のこと…

ラジオから中島みゆきの歌が流れ、岩岡ヒサエのこのマンガにあっていた。

【わにわに書庫】 岩岡ヒサエ『孤食ロボット』(集英社)から、 岩岡ヒサエさんは、名前がうちの母親といっしょで、母を思い出し親近感がわく。マンガは『土星マンション』あたりから読み始めたけど、この『孤食ロボット』はとくに、いい。 ちょっと前になるが…

もう始まっている?

40000人のデモ。 抗議の焼身。 気遣いなのか、小さく小さくしか報道しないNHK。 もうあれだね。 ワタシはデモも焼身もしたくないけど、関心がないわけではない。 大竹まことさんを偉いとおもう。信頼がもてる。 ラジオで、関係のないゲストに、こういうきの…

初ゴジラの記憶

きのうの秋田魁新報、高知新聞の書評欄に、 『ゴジラの精神史』小野俊太郎(彩流社)さんの新刊紹介を書いたものが掲載された。 共同通信の配信なので、以降も地方新聞に載るそうです。 ゴジラといえば、キングコングとの二大怪獣ものを父と観に行ったのが、ワ…

山田清機さん、おぼえておこう!

『東京タクシードライバー』山田清機著、(朝日新聞出版)を読んでいる。 AERAの「現代の肖像」でときおり見かけたことのある書き手で、タクシードライバーたちをインタビューしたノンフィクション。 前職をずっと聞いていく。スーツアクター(着ぐるみに入って…

三つの顔のおんなのかなしみ

【わにわに書庫】 近藤ようこ『異神変奏 時をめぐる旅』(メディアファクトリー)から、 なんか手塚治虫の『火の鳥』みたいと思ったものの、あれは時代をいったりきたりして、キャストは「火の鳥」以外総とっかえ、火の鳥を捕まえて不老不死になろうとするがそ…

既視感

問題の重たいほうが知らんふりして幕引き、の構図は、 彼より重責者が真打ちてこと? 真後ろにいて、聞こえなかった、て言うイバッタひといたな。 イジメのドラマそっくりだな。

護送船団、横並び

「早く結婚しろ!」をオンエアして、 「産めないのか?」はカットするTVニュースが多いのは、 何かあるのか… より問題なのはあとの発言だと思うけど、 談合したみたいに軽いほうを選択していた。 笑い声といい、ほんと、イジメと似ている。 近くの議員は「…

インタビューライター・朝山実 近著 『父の戒名をつけてみました』(中央公論新社) 『アフター・ザ・レッド 連合赤軍兵士たちの40年』(角川書店) 『イッセー尾形の人生コーチング』(日経BP社)etc. 不定期連載 「日刊チェンマイ新聞」"朝山実の、という本の話" http://www.norththai.jp/